佐賀支援活動
10/11-から10/14まで行った、佐賀県武雄市久津具地区での支援活動についてご報告です。
目的は二つあります。8月の九州豪雨で実はこのエリア、甚大な浸水被害に遭っている知られざる被災地です。住民の方々のご自宅がほとんど床上浸水、良い状態のお宅でも床下浸水を免れなかったエリア、でも幸いにも土砂崩れや死者が出なかったことで、逆にニュースにならなかった現状です。ピースプロジェクトは仙台で活動している仲間のネットワークから、被災地である情報を聞き、先月から炊き出し支援を行ってきました。
今回の支援の1つ目の目的は、床が剝がれたままの1階で、自宅避難をされている方々へ、160食分の夕食を提供すること。
二つ目の目的は先月支援に来た際に活動拠点づくり、ボランティア集めへの人つなぎ等大変お世話になったご自身も被災されながらも運営する幼老施設へ車いすの寄付をすることです。Facebookで「車椅子プロジェクト」として温かいご支援で1週間余りで集まった資金で購入したものを贈ります。
初日のメニューは『牛丼(筍入り)』です。器材道具・買い出し等は仙台の仲間がすべて済ませてくれていても、調理場所の設営、プロパンガスや釜のセット等初日はなにかと調理を始めるまでに時間がかかります。食数も多いため、寸胴鍋一つで完成するメニューにすることが多いです。火が入りやすい牛肉のバラを投入したところ、ほぼほぼ溶けてしまいましたが今回はたけのこを入れたので食感はそれでお楽しみいただけたでしょうか?
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佐賀炊き出し支援2日目、さば味噌弁当163食、提供。100食はおもやいボランティアセンターさんを通じて必要なご家庭へお届けいただきます。63食は活動拠点としている久津具クツク地区の各ご家庭へ宅幼老所笑びすの荒川さんと現役の区長さんとで手分けして配達します。車が無事だった方は取りに来られますが、大体のご家庭の車はつかえなくなってしまった、とのことでした。
区長さんとご一緒に配達に同行させていただくと道の途中、2年前の水害の水深記録がついた電柱を所々で見かけます。場所によって土地の高低差はありますが、120㎝~180㎝まで水が来た2年前の水位記録。今回はこれよりもさらに20㎝以上高かったとのこと。。。文字通り想像を超えた水深だったとわかります。。
各ご家庭へ伺うとその想像は現実となって目の当たりにせざるを得ないものでした。床上浸水の爪痕は生々しく残っており、畳も床板もはがして梁が見えたままの状態であったり、壁紙には水が上がった位置がくっきりわかる跡となって残っているご家庭がほとんどなのです。私の腰の位置以上なので、電化製品は完全に浸水で使い物にならないでしょうし、家財道具もすべて水に浸かってしまったということがわかります。
お弁当をお渡しする際に、住民の皆様、口をそろえて「本当に助かります。ありがとうございます。」とお礼をおっしゃってくださいます。以前はお渡しに同行すると東京から来た我々に住民の方にかえってお気遣いさせてしまうんじゃないかと懸念していましたが、少しでもお話することが心の負担を軽くすることもある、とわかってからはなるべく顔見せ・お話するようにしています。お弁当も誰が作ったか見えた方が少しでも食欲につながってくれるのでは、と願う部分もあります。
やっと大工さんが入ったご家庭の住民の方と少しお話させていただくことができました。「キッチンの水道・電気はつかえるけど床が不安定だしそこで調理をする気持ちにはならないのよ。電気があるからなんとか炊飯器でご飯だけは炊くけど、おかずはスーパーで買って済ませることが多いので、お弁当があるとわかっている日は食事の買い出しに行かなくていいのでそれだけで一つ肩の荷が下りて助かるの。それでもうちは車がまだ無事だったからすぐ買い物に行けるからいいほうなのだけれどね。」そんな生活を2か月近く続けてこられて、しかも今日からやっと復旧作業とは。。。ここからが長いみちのり、ということを2年前の経験でご存じなだけに淡々とお話くださいました。
区長さんからは「この地区は64世帯の住民登録があって、11戸以外はすべて床上浸水、残りは床下浸水の被害です。雨が続いて浸水が始まってから消防や自衛隊のボートで避難した住民は180人のうち60人で1/3もいた。避難所の公民館では足りなくて、隣のお寺さんも避難所にさせてもらったんですよ。でも、一番つらいと思うのは、どの家も2年前の水害の時の復旧が終わったり、新築に建て直して完成した矢先に今回の水害、となってしまったことです。特に高齢の方々が多いので、本当に参っている。どうしていいかわからないんです。だからこうしてお弁当のタイミングでお渡しするときに様子を見ながら少し声をかけて回っています。」とお話しくださいました。
今回のは(同行した私が)「いろいろと思うところがあるだろうから書いてください」と代表から託されました。思うところが多すぎてうまく伝わらないかもしれませんが、ピースプロジェクトの「私にできること。」の原点に立ち返り、あと二日、心を込めてお弁当を作りたいと思った2日目でした。
佐賀県武雄市での炊き出し支援活動第2陣、3日目。
炊き出しの前に今回の支援目的の二つ目、皆さまからのご寄付で購入する事が出来た“車椅子”の寄贈イベントを実施しました。『宅幼老所笑びす』さんは子どもも老人も預かる民間施設で、保育園でも老人ホームでもないので、行政の手が届きにくいので、タイヤに空気が入らない、ぼろぼろになった車椅子を使い続けていました。
今回、温かいご寄付が集まり写真のようなリクライニング式の車椅子一台と通常の車椅子二台を購入する事が出来ました。改めて皆さまの温かいお気持ちに感謝申し上げます。
そのリクライニング式車椅子を使っておられるのは大隈クニさん、御年96歳。これまでは介助なしではご飯が食べられなかったそうですが、この車椅子のおかげで自分でお箸を持って食事する事が出来る様になったそうです。セレモニーでも、満面の笑顔で撮影に応えてくださいました。「こいがよかもん」=これがいいよ!とおっしゃってくださっているそうです。
佐賀炊き出し支援3日目、昨日に続いてグリーンコープ様食材協賛でのお弁当、久津具クツク地区63食、おもやいボランティアセンターを通じて100食、合計163食の提供となりました。今日の献立は、ちらし寿司、蓮根と山芋の肉団子、卯の花、卵焼き、ゆず大根でした😋ボランティアの方が5名も来てくださったおかげで手際よく、お弁当がどんどんでき、時間よりも早く完成!本当に地方での活動には地元のボランティアさんが欠かせませんし、おかげ様の結晶のお弁当作り、ありがたいです。お片付け後、おもやいボランティアセンターVCへ立ち寄り、ご挨拶に伺いました。地元の様々なボランティア活動の要請や炊き出しの数字、ヒト、(必要な)コト、モノ、おかねを取り纏めておられ、AARの活動仲間が地元事務所を通しながら情報交換/交流を続ける中でのピースプロジェクトの炊き出しへとつながった経緯があります。おもやいVCを通じてピースプロジェクトのボランティアに来てくださった方々も多くいらっしゃいました。困ってる方々に「できることをしていく」という点で思いは同じで、場所を提供していただいている『笑びす』の荒川さん同様、ピースプロジェクトにとってどちらも心強いパートナーでした。
10/14 佐賀支援、最終日のメニューは鰻丼です。去年の熊本豪雨の支援の際、丑の日があったこともあって提供いたしましたところ、避難所の方々が大変喜んでくださったことをきっかけに、献立に組み込むことにしています。事前に予告したことが功を奏して、提供数は200食となりました。やっぱり鰻は人気メニューですね。提供方法には少しコツがあり、鰻のふっくら感をより引き出すためにたれを別立てにして作ったところへ一度潜らせてからご飯に盛り付けます。この潜らせ調理法、毎回ボランティアさんたちが『次に家で鰻の時にやってみたい!』と話が盛り上がるほど盛り付けた鰻の見た目艶やか、ふんわりとした食感に変わります。 今回の佐賀支援活動は本日をもって一旦区切りとなりますが。復旧復興の道のりは長く続くものですので、またタイミングを考えて支援活動にあたりたいと考えています。協働してくださいましたAARジャパン佐賀支部の皆様、活動拠点場所の提供と地域の取り纏めをしてくださった@NPO法人みつわ 代表の荒川さんと関連施設のスタッフの皆様、直前の提供数の変更にも臨機応変なご対応で中日2日の食材をご提供くださいました、@グリーンコープ 藤瀬さんを始め配達に携わってくださったスタッフの皆様、ボランティアさんの募集、手配をしてくださった @おもやいボランティアセンター の皆様、そして連日お手伝いに来てくださったボランティアの皆様、本当にありがとうございました。