第3回 スーダンまでの道のり-2
ケニア国境。ここから撮影禁止。ここで武装警官の護送が必要です。
6人乗りの中型トラック、後ろの窓からは機関銃が何本ものぞいています。荷台にも武装警官がいるかのようにシートがかけられています。
舗装も無いでこぼこの山道をもの凄いスピードで駆け上っていく武装警官と我々。でもこうしないと山岳地帯で見張っている山賊に襲われてしまうそうです。しかも道の真ん中に水が流れるときに出来る深くて大きい溝があちらこちらにあって、運転するにも気が抜けない状態が続きます。
こんな状態が90分続いてようやくスーダン国境に到着。
まだまだ安心できません。ここで通用するのはパスポートではありません。南スーダン政府(GOSS)が発行する旅行許可証だけです。国境事務所に入って、その旅行許可証を見せて「OK」をもらうまでは良かったのですが、車に戻ると酔っ払った兵士が車を囲んで何か言っています。
聞くと「これはお前らの荷物か?1個に付き40ポンドを支払え!」という意味不明の要求を突きつけてきます。「払う根拠がない」といっても、「払わないとここを通さない」の一点張り。10分以上の押し問答の末に大西さんのアイデアで「加藤さんは日本からやってきたVIPで、ここで問題起こすとあなたは大変なことになる」と伝えたとたん”バタン”とドアを閉めてどこかへ行ってしまいました。
やっとの思いで国境を通過、ここから再び撮影開始。
すぐに見えてきたのはヤギや羊を遊牧する部族の姿。遊牧する家畜は羊、ヤギに限らない、牛はもちろん、ラクダやロバなど多岐にわたります。
現地の家はというと、泥を練って作った”土小屋”、屋根には萱のようなものが敷き詰められています。 舗装されていない粘土質の道を時速80キロ以上で突っ走るランドクルーザー。この時はじめて、「ランドクルーザー」という名前の意味を知った様な気がします。本当に荒れた道をクルーズしている感覚です。
そんなクルージングを”楽しんで2時間近くが過ぎ、成田空港を飛び立って58時間になろうという時、目的地である”カポエタ・タウン”が見えてきました。 見えてきたと言っても、少し人影が多くなった程度、道路の脇に「WFP(世界食料計画)」の建物や倉庫、「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」の建物が見える程度です。
「ここが本当に町なのか?」
「こんなところに人が住んでいるの?」現実味がありません。
「もうすぐコンパウンド(住居施設)に到着します」と言われても
「えっ!こんな所で働いている日本人が本当にいるの!!」という夢のような感覚です。
身体は冷房のない車での長時間の移動で、頭は緊張感、不安でいっぱいいっぱいになっていたのですが、名取さんという現地駐在代表からの「遠いところをようこそいらっしゃいました」という一言で一気に力が抜けてしまいました。
株式会社イングラム
代表取締役 加藤勉
*次回「アフリカ、スーダン、南スーダン、カポエタについて」に続く